2015年9月9日に参議院本会議で公認心理師法が成立し、その後、現在、臨床心理士として業務に従事している現職者や指定大学院在籍者の中に公認心理師資格取得の件でやや混乱が見られるということからとても重要な附則について逐条解説を行う。
なお、この記事では公認心理師法を本法律と略記する。また、本法律の本体を本則と呼び附則と区別し、さらに付帯決議についてはその旨を記して論じられていること及び引用が本則なのか、附則なのか、付帯決議なのか混乱を来さないように配慮を行った。
まず、附則とは法律を構成するものの一つで、法律本体である本則に付随し、法律の施行期日、経過措置、など必要事項を定めた部分である。
特に、現在、臨床心理士として業務に従事している者及び臨床心理士の養成大学院在籍者は今回の解説記事を熟読されたい。
なお、公認心理師法は平成27年(2015年)9月16日付けで公布されたためにそこを起点として予測される期日を計算している。
附則第一条(施行期日)この法律は、公布の日(2015.9.16)から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十条から第十四条まで、第十六条、第十八条から第二十三条まで及び第二十五条から第二十七条までの規定並びに第四十七条、第四十八条及び第五十条(第一号を除く。)の規定(指定試験機関に係る部分に限る。)並びに附則第八条から第十一条までの規定は、公布の日(2015.9.16)から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
附則の第一条は施行期日となっている。
本法律は2015年9月16日に公布された。公布後どれくらいの期間で法律が施行されるかを定めたものである。
第一条では公布の日(2015年9月16日に公布)より二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行となっており、遅くても2017年9月16日までに公認心理師法が施行されると言うことである。
ただ、1つ例外があり、公認心理師の国家資格を国(文部科学省・厚生労働省)より指定を受けて実施をする指定機関に関しては公布の日(2015.9.16)から六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行となっている。
本法律が2015年9月16日に公布をされたため、指定機関に関しては2016年3月16日以前に本法律が施行されることとなった。
これは、国家試験をスムーズに行うためにそのように定められているものであり、多くの臨床心理士等現任者にとっては直接関係のある話ではない。
附則第二条(受験資格の特例)次の各号のいずれかに該当する者は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
一 この法律の施行の日(以下この項及び附則第六条において「施行日」という。)前に学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの
この部分は本法律の施行日前(最長でも2017年9月まで)に大学院を修了した者についての規定であり、一見わかりにくいが、おそらく、16・17年度で取得する単位を読み替え規定によって「公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの」と見なしていくものである。
既に臨床心理士として臨床業務に従事している現任者向けと言うよりも、現時点で、大学院に在籍をしている院生を対象とした規定である。
また、この一号の対象となる人は後述の附則第二条2項と3項が適用されると思われる。
二 施行日前に学校教育法に基づく大学院に入学した者であって、施行日以後に心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて当該大学院の課程を修了したもの
この部分はおそらく平成28年度に大学院へ入学する者を対象としている。そして心理学科・心理学部生の4年生を想定している。
この場合は、大学院入学時には本法律の施行前であり、大学院在学中に本法律が施行されるが、この場合も、取得した単位を読み替え規定によって「公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの」と見なしていくことを定めたものである。
ただ、途中で公認心理師受験資格取得の新カリキュラムによる単位の追加取得が求められる可能性が全くないと現時点では言うことは出来ない。
読み替え規定ですべて可能かどうかについては今後の省令を見ていく必要がある。
三 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、施行日以後に同法に基づく大学院において第七条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの
この部分は再来年度(平成29年度)以降大学院へ進学する者である現時点で心理学科・心理学部の1年生~3年生を想定しており、学部で履修した単位を読み替え規定で「必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるもの」として扱うことを定めている。
ただし、学部在学中に本法律が施行されるために、公認心理師受験資格取得の新カリキュラムによる単位の追加取得が求められる可能性がある。
そして本法律の施行後に大学院に入学をするので「施行日以後に同法に基づく大学院において第七条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの」として扱うというという規定である。
つまり、大学院進学時には公認心理師受験資格取得の新カリキュラムで履修を行う者である。
四 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの
この部分は大学に次年度(平成28年度)へ入学する者及び、心理学科・心理学部の1年生~2年生(3年生)を想定している。
この場合は、学部在学中の単位を読み替え規定によって「心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるもの」としつつも、在学中に本法律が施行されるために、公認心理師受験資格取得の新カリキュラムによる単位の追加取得が求められる可能性がある。
そして、大学院に進学をせず、「本則の第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの」として公認心理師の受験資格を得る者である。
附則第二条2項と3項
2 この法律の施行の際現に第二条第一号から第三号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、次の各号のいずれにも該当するに至ったものは、この法律の施行後五年間は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。
一 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者
二 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第二条第一号から第三号までに掲げる行為を五年以上業として行った者
3 前項に規定する者に対する試験は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その科目の一部を免除することができる。
この附則第二条2項と3項が臨床心理士等として現時点で心理職として活動をしている人(現任者)及び現在、養成大学院に在籍をしている人(附則第二条一号に相当する人)にとってとても重要な所である。
まず、2項では「この法律の施行の際現に第二条第一号から第三号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるもの」となっており、臨床心理士等として現時点で心理職として活動している人はほぼここに該当をする。
そして、本法律の施行後五年間は、本則第七条の規定に合致しなくても、現任者として試験を受けることができるとしている。いわゆる移行措置の規定である。
この部分は付帯決議の「一、臨床心理士を始めとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培ってきた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生じさせないように配慮すること」の意を体しているものである。
また、「業」としてというところが非常に重要であり、多職種が単回の一号~三号までのことを行った場合は「業」として反復継続して行ってないとされて現任者認定をされない可能性がある。
参考として本則の第二条第一号から第三号を掲げると
一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。
二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
となっている。
さらに、第二条2項に合致しつつ、さらに一号及び二号の両方に合致する必要がある。
それは「一 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者」、現時点で臨床心理士等として心理職として活動をしている場合でも、この一号の講習会、いわゆる現任者講習を受けることが求められている。
そして、「二 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第二条第一号から第三号までに掲げる行為を五年以上業として行った者」であることも同時に求められている。
そのため、既に5年以上、臨床心理士等として心理職として活動をしている場合はすぐに現任者講習を受けることが可能であるが、それに満たない場合はその満たない期間は勤務を続けて5年を満たす必要がある。
ただ、連続して同一箇所での5年ではないので、例えばAクリニックで2年、B教育センターで1年、C病院で2年ということであっても通算で5年となるために現任者講習は受講が可能であると思われる。精神保健福祉士の現任者の場合も通算規定が設けられており、それと同じであれば同一箇所で5年ということにはおそらくならないだろう。
現任者の認定をどのような条件で行ってゆくかの詳細は、これから検討されることになる。
3 前項に規定する者に対する試験は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その科目の一部を免除することができる。
この部分は現任者の現任者講習時に行われる試験科目の減免措置であり、今後、どのような措置が講じられるか省令を見ていく必要がある。
また、現時点で大学院の修士2年生の場合は2021年度に5年目になるのでその時点で現任者講習をおそらく受けることになると思われる。
さらに、この点は不確実であるが、施行期日によっては現在のM1までがこの現任者講習の対象になると考えられる。
いずれにせよ、本法律の公布時点では附則第二条第一号である修士1年生及び2年生についてはこの現任者講習がどの時点受けられるかは明確にされていない。
そのため、既に本法律が公布された現在、各大学・大学院は速やかな公認心理師受験資格が得られるようカリキュラム編制をする必要がある。
附則第三条(受験資格に関する配慮)文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。
この部分は、大学院修了者と同等の「臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有すること」と学部卒で勤務を始めたものがなるよう勤務年限を定めるものである。
具体的年限は現時点では定まっていない。
附則第四条(名称の使用制限に関する経過措置)この法律の施行の際現に公認心理師という名称を使用している者又はその名称中に心理師の文字を用いている者については、第四十四条第一項又は第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。
この部分も現時点(2015.9.16)で公認心理師もしくは心理師と名乗っている場合でも施行されて(最長でも2017.9.17まで)半年間に名称変更を行うことを求めるものである。
そのため、最長でも2018年3月17日以降、無資格者は公認心理師もしくは心理師と名乗ると罰則が適用されると言うことである。
附則第五条(検討)政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。
この部分は、法律というものは実際に施行してみて不都合が生じることが多々あるために、5年を目途にして改正等を政府等が講じる必要があるとして定めたものである。
この部分を有効にするためには公認心理師会のような業界団体が問題を常に集める努力を行う必要があり、個々の公認心理師も問題があれば所定の手続を行って報告をしていく事が求められている。
附則第六条(試験の実施に関する特例) 第六条の規定にかかわらず、施行日の属する年においては、試験を行わないことができる。
ここは施行年が未定ではあるが、2年以内という規定があるので、2016年もしくは2017年のどちらかに本法律は施行されるが、その施行年に限っては試験を行わないことが出来るとしてある。
これは仮の話であるが、指定機関に関しては2016年3月16日以前に指定されるが、ほぼ同時期に本法律が指定機関以外の部分も施行された場合、試験をすることが日程的に不可能な可能性があるためにこのような条文が附則に定められているのである。
正式ステートメントがなされていない修正案で議論は出来ない
第189回国会(通常国会)開会中の2015年7月8日に公認心理師法案は衆議院事務局に提出をされた。
ところが、提出後に極々一部の臨床心理士より第187国会(臨時国会)において出所不明の「民主党が提案し与党と合意した修正案なるものが存在しており、第187国会ではその修正案で成立させるという情報がネット上に流されている。
伝聞推定情報に過ぎないが、おおよその所は次のようなことである。
修正案には合意以前の数種の案があり、その中の案のどれかが故意にリークされ、一部にその案を見た関係者がいるらしい。
数種の案のどれかが七者懇関係者にもたらされ、それを受け精神科七者懇談会は2014年11月28日付無修正要望を出したということである。
その七者懇の無修正要望を受け、第189国会で自由民主党・公明党の与党は原案での提出を決定し、維新の会及び次世代党はそれに賛成をしたとのことである。
ところが第189国会では、修正案を作ったとされる民主党は本法案をどのようなもので出すかについて意見が定まらず、提出者に加わることが出来なかったようである。
何れにせよ、修正案なるものは、国会に提出される前に解散になったので、正式な法案として公にされておらず、それらを国会議員の関係者でも見た人がいるかどうかも不明なままである。
さらに、修正要望を行った団体がいわゆる修正案なるものを入手しているかどうかも不明なのが現時点の状況である。
それにも関わらず、その存在不明な修正案で議論をすべきであると修正要望を行った団体が執拗に主張するのは非常に奇異なことである。
つまり、公表されていないもので議論するのは無理なことを知った上での主張であれば相当問題がある。
少なくとも、民主党が方針を決め、民主党の党内で決定した正式な公認心理師法修正案が公表をされてからでなければ、表題の「正式ステートメントがなされていない修正案で議論は出来ない」ということに帰結するのではないだろうか。
第189通常国会は戦後最長の95日間延長となった。
そして公認心理師法案は7月4日現在の情報であるが、7月8日水曜日に提出とのことである。
これは精神科医でもあり、維新の党に所属する衆議院議員かわの正美議員の7月1日付twitter情報である。
そのtweetを一部引用すると
かわの正美 @mkawano2416 Jul 1 (前略)「公認心理師」は8日水曜に提出予定。(後略)
と同議員は記している。
かわの議員がtweetした翌日に精神科七者懇談会は「 公認心理師法案の無修正成立についての声明」を発表した。
平成27年7月2日 公認心理師法案の無修正成立について声明 精神科七者懇談会
公認心理師資格は雇用問題を改善するために作るものではない。
公認心理師法案の第一条(目的)には以下のようになっている「この法律は、公認心理師の資格を定めて、その業務の適正を図り、もって国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする。」
心理職のためのものではなく、「国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」ものであることを再度確認する必要がある。
しかし、一方で心理職の雇用、特にその質の向上につながる可能性が資格化によって生じてくる可能性もあると筆者は考えている。
それはどういうことか?
まず、現在、心理職(臨床心理士)が派遣事業者に登録をして心理職として派遣されていることを多々見ることがある。
派遣登録をして働くこと自体が悪いことではないが、給与は派遣労働者派遣をお願いした事業所が派遣事業者に支払い、そこから一定額(派遣マージン率)を取って、残りを派遣労働者が受け取っている。
その派遣マージン率は30%~50%のようである。
労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)では公開の義務があるが徹底せず、平均30%であるが、ネットで調べる限りそれ以上のマージン率を取る所もあるが、いわゆるピンハネ(1割・10%)ではなくサン(三倍)ピンハネ(税の補足率、トーゴーサンピン=10・5・3・1ではない)という不利な状況に置かれていると考えても良いだろう。
ところが労働者派遣法施行令では医療関係の業務については 第四条 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。ということで禁止されている。
公認心理師も組織力によって「労働者派遣事業を行つてはならない。」という業種にしていくことが可能であり、個々の公認心理師が各組織から直接雇用され、20%~50%も派遣マージンを取られることなく手取り給与・時給を増やすことが可能になると考えられる。
こういった、間接的に雇用の質を上げていくためにも国家資格=公認心理師法案を成立させていくことが必要である。
良質な雇用を増やすことで研修経費の支出が可能となり、「国民の心の健康の保持増進に寄与することを目的とする」という法律の目的に合致する働きを心理職が出来るようになってくると思われるのである。
日本臨床心理士会の2015.2.13資格問題の諸情報・電子版速報 No.21に国家資格化の成否は『二択』という文書が書かれている。
この文書を冷静にわれわれ臨床心理士有資格者は受け止めなければならない。
つまり、「今、ここで」求められているのは痛みを伴った決断だと思われる。
この部分が修正されれば賛成とか言うことではなく、現法案で行くか行かないかという苦く逃げ道のない決断が求められているのである。
もちろん、修正案を考えてくれる国会議員の配慮にも気遣いをもってこの法案だけでという頑なな姿勢を持つと言うことではないことではあるが。
さて、電子版速報 No.21に国家資格化の成否は『二択』と示されているように、選択肢は二つしか無いという前提で考える必要がある。
昨年6月に国会に提出され11月に衆議院解散のために廃案になった公認心理師法案」の再提出要望書は、三団体を含む63団体(2月11日現在)から出されています。この中には無修正での成立を要望する医療の団体が含まれています。
ここで示されているように、すでに臨床心理士だけの話でないことをわれわれ臨床心理士は認識をしなければならない。
国家資格化は、臨床心理士関係者(団体)だけの要望で進むわけではなく、他の諸団体も関係するさまざまな調整の中で進められます。「公認心理師法案」はそのような難しい状況のなかで、ギリギリの調整が行われて作られました。
ギリギリの調整で出来上がり、これ以上の調整が極めて難しいものであるいことがここで示されており、その中で比較的大きな臨床心理士関係団体のエゴで頓挫させることは約60団体に対する背信的な行動なのである。
つまり、一度、背信的行動をした場合、他団体から信頼を取り戻すことはそれこそ99年かかるということを肝に銘じておかなければならない。
この法案について、当会理事会は昨年7月26日に早期成立要望を決議し,12月22日に当会常任理事会は法案再提出に賛同を決定しております。このような経緯からして<再提出>を要望するにあたり、臨床心理士資格との比較で「公認心理師法案」の“問題点”をことさらに強調することは、2005年の轍を踏む結果になると考えられます。
われわれ臨床心理士は2005年に何を学んだか?七者懇に所属する団体の一言で全て頓挫してしまったのであり、今もその状況は変わらない。
つまり、われわれ臨床心理士は脆弱な政治的な力しかないと言うことを再度確認する必要があり、本法案自体は長年の要望をかなりの部分で叶えられていることをもう一度思い出して欲しい。
私たちは現在、以下の『二択』という状況に置かれています。
① 昨年6月提出の「公認心理師法案」の<再提出>により成立をめざす
② 臨床心理士資格との比較で「公認心理師法案」の“問題点”をことさらに強調して、法案作成に至った調整のバランスを損ない、国家資格化を断念するに至る
そして、第一の「再提出か」、第二の「断念か」しか選択できない究極の状態に置かれている。
しかし、このことで卑屈にならず、怒らず、悲しまずに状況を甘受しつつ、第一の「再提出」を選択し、この五〇年間の悲願であった心理職の国家資格を作り上げて行くことが最善の選択であるとブログ執筆者は考えている。
青字は2015.2.13資格問題の諸情報・電子版速報 No.21よりの引用部分です。
新年おめでとうございます。
2014.12.14、ネット他の開票速報によると22時過ぎに自公で300議席を確保するということがほぼ確定しつつあるようである。
本日の24時までに大勢は判明しそうである。
さて、衆議院解散総選挙が終わればすぐに特別会(第188回特別国会)がおそらく3日間ほど開かれ、その後、来年の1月に常会(第189回通常国会)が召集される。
応ブロではこの第189回通常国会で是非、公認心理師法案を通したいと切望をしている。
そこで、臨床心理士資格の有資格者の皆様へ各々方御覚悟の程は如何と問いかけたいと思う。
公認心理師になることで今までの臨床心理士として行ってきた業務とほとんど変わりなく仕事を行えると見込まれるが、しかし、今までより倫理面及び社会に関する責任は重くなると考えられる。 法案には、義務や罰則が明文化されていることからもそれは明らかである。
今までは、国の制度下に入っていなかったがために許されてきたことが許されなくなると言うことに対して覚悟は如何だろうか?
つまり、今まで各自の裁量に任されていたことでも、法律によって規定され、たとえば他の職種のように必要に応じて行ったことのプロセスの公開が国及び国民に求められていくことにもなるだろう。
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