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2015年9月17日 (木)

2015年9月17日 逐条解説 附則について-現任者も院生も附則を読もう-

 201599日に参議院本会議で公認心理師法が成立し、その後、現在、臨床心理士として業務に従事している現職者や指定大学院在籍者の中に公認心理師資格取得の件でやや混乱が見られるということからとても重要な附則について逐条解説を行う。


 なお、この記事では公認心理師法を本法律と略記する。また、本法律の本体を本則と呼び附則と区別し、さらに付帯決議についてはその旨を記して論じられていること及び引用が本則なのか、附則なのか、付帯決議なのか混乱を来さないように配慮を行った。


 まず、附則とは法律を構成するものの一つで、法律本体である本則に付随し、法律の施行期日、経過措置、など必要事項を定めた部分である。


 特に、現在、臨床心理士として業務に従事している者及び臨床心理士の養成大学院在籍者は今回の解説記事を熟読されたい。



 なお、公認心理師法は平成
27(2015)916日付けで公布されたためにそこを起点として予測される期日を計算している。


 附則第一条(施行期日)この法律は、公布の日
(2015.9.16)から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、第十条から第十四条まで、第十六条、第十八条から第二十三条まで及び第二十五条から第二十七条までの規定並びに第四十七条、第四十八条及び第五十条(第一号を除く。)の規定(指定試験機関に係る部分に限る。)並びに附則第八条から第十一条までの規定は、公布の日(2015.9.16)から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。


 附則の第一条は施行期日となっている。


 本法律は
2015916日に公布された。公布後どれくらいの期間で法律が施行されるかを定めたものである。

 第一条では公布の日
(2015916日に公布)より二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行となっており、遅くても2017916日までに公認心理師法が施行されると言うことである。

 ただ、
1つ例外があり、公認心理師の国家資格を国(文部科学省・厚生労働省)より指定を受けて実施をする指定機関に関しては公布の日(2015.9.16)から六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行となっている。

 本法律が
2015916日に公布をされたため、指定機関に関しては2016316日以前に本法律が施行されることとなった。

 これは、国家試験をスムーズに行うためにそのように定められているものであり、多くの臨床心理士等現任者にとっては直接関係のある話ではない。

 附則第二条(受験資格の特例)次の各号のいずれかに該当する者は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。

 一 この法律の施行の日(以下この項及び附則第六条において「施行日」という。)前に学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの


 この部分は本法律の施行日前
(最長でも20179月まで)に大学院を修了した者についての規定であり、一見わかりにくいが、おそらく、1617年度で取得する単位を読み替え規定によって「公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの」と見なしていくものである。

 既に臨床心理士として臨床業務に従事している現任者向けと言うよりも、現時点で、大学院に在籍をしている院生を対象とした規定である。


 また、この一号の対象となる人は後述の附則第二条
2項と3項が適用されると思われる。


 二 施行日前に学校教育法に基づく大学院に入学した者であって、施行日以後に心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて当該大学院の課程を修了したもの


 この部分はおそらく平成
28年度に大学院へ入学する者を対象としている。そして心理学科・心理学部生の4年生を想定している。

 この場合は、大学院入学時には本法律の施行前であり、大学院在学中に本法律が施行されるが、この場合も、取得した単位を読み替え規定によって「公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの」と見なしていくことを定めたものである。


 ただ、途中で公認心理師受験資格取得の新カリキュラムによる単位の追加取得が求められる可能性が全くないと現時点では言うことは出来ない。


 読み替え規定ですべて可能かどうかについては今後の省令を見ていく必要がある。



 三 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、施行日以後に同法に基づく大学院において第七条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの


 この部分は再来年度(平成
29年度)以降大学院へ進学する者である現時点で心理学科・心理学部の1年生~3年生を想定しており、学部で履修した単位を読み替え規定で「必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるもの」として扱うことを定めている。

 ただし、学部在学中に本法律が施行されるために、公認心理師受験資格取得の新カリキュラムによる単位の追加取得が求められる可能性がある。


 そして本法律の施行後に大学院に入学をするので「施行日以後に同法に基づく大学院において第七条第一号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの」として扱うというという規定である。


 つまり、大学院進学時には公認心理師受験資格取得の新カリキュラムで履修を行う者である。



 四 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの


 この部分は大学に次年度(平成
28年度)へ入学する者及び、心理学科・心理学部の1年生~2年生(3年生)を想定している。

 この場合は、学部在学中の単位を読み替え規定によって「心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるもの」としつつも、在学中に本法律が施行されるために、公認心理師受験資格取得の新カリキュラムによる単位の追加取得が求められる可能性がある。


 そして、大学院に進学をせず、「本則の第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第二条第一号から第三号までに掲げる行為の業務に従事したもの」として公認心理師の受験資格を得る者である。



附則第二条
2項と3

 2 この法律の施行の際現に第二条第一号から第三号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、次の各号のいずれにも該当するに至ったものは、この法律の施行後五年間は、第七条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。


 一 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者

 二 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第二条第一号から第三号までに掲げる行為を五年以上業として行った者

 3 前項に規定する者に対する試験は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その科目の一部を免除することができる。


 この附則第二条
2項と3項が臨床心理士等として現時点で心理職として活動をしている人(現任者)及び現在、養成大学院に在籍をしている人(附則第二条一号に相当する人)にとってとても重要な所である。

 まず、
2項では「この法律の施行の際現に第二条第一号から第三号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるもの」となっており、臨床心理士等として現時点で心理職として活動している人はほぼここに該当をする。

 そして、本法律の施行後五年間は、本則第七条の規定に合致しなくても、現任者として試験を受けることができるとしている。いわゆる移行措置の規定である。


 この部分は付帯決議の「一、臨床心理士を始めとする既存の心理専門職及びそれらの資格の関係者がこれまで培ってきた社会的な信用と実績を尊重し、心理に関する支援を要する者等に不安や混乱を生じさせないように配慮すること」の意を体しているものである。


 また、「業」としてというところが非常に重要であり、多職種が単回の一号~三号までのことを行った場合は「業」として反復継続して行ってないとされて現任者認定をされない可能性がある。


 参考として本則の第二条第一号から第三号を掲げると


 一 心理に関する支援を要する者の心理状態を観察し、その結果を分析すること。

 二 心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。
 三 心理に関する支援を要する者の関係者に対し、その相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うこと。

となっている。


 さらに、第二条
2項に合致しつつ、さらに一号及び二号の両方に合致する必要がある。

 それは「一 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者」、現時点で臨床心理士等として心理職として活動をしている場合でも、この一号の講習会、いわゆる現任者講習を受けることが求められている。


 そして、「二 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第二条第一号から第三号までに掲げる行為を五年以上業として行った者」であることも同時に求められている。


 そのため、既に
5年以上、臨床心理士等として心理職として活動をしている場合はすぐに現任者講習を受けることが可能であるが、それに満たない場合はその満たない期間は勤務を続けて5年を満たす必要がある。

 ただ、連続して同一箇所での
5年ではないので、例えばAクリニックで2年、B教育センターで1年、C病院で2年ということであっても通算で5年となるために現任者講習は受講が可能であると思われる。精神保健福祉士の現任者の場合も通算規定が設けられており、それと同じであれば同一箇所で5年ということにはおそらくならないだろう。

 現任者の認定をどのような条件で行ってゆくかの詳細は、これから検討されることになる。



3 前項に規定する者に対する試験は、文部科学省令・厚生労働省令で定めるところにより、その科目の一部を免除することができる。


 この部分は現任者の現任者講習時に行われる試験科目の減免措置であり、今後、どのような措置が講じられるか省令を見ていく必要がある。


 また、現時点で大学院の修士
2年生の場合は2021年度に5年目になるのでその時点で現任者講習をおそらく受けることになると思われる。

 さらに、この点は不確実であるが、施行期日によっては現在の
M1までがこの現任者講習の対象になると考えられる。

 いずれにせよ、本法律の公布時点では附則第二条第一号である修士
1年生及び2年生についてはこの現任者講習がどの時点受けられるかは明確にされていない。

 そのため、既に本法律が公布された現在、各大学・大学院は速やかな公認心理師受験資格が得られるようカリキュラム編制をする必要がある。



附則第三条(受験資格に関する配慮)文部科学大臣及び厚生労働大臣は、試験の受験資格に関する第七条第二号の文部科学省令・厚生労働省令を定め、及び同条第三号の認定を行うに当たっては、同条第二号又は第三号に掲げる者が同条第一号に掲げる者と同等以上に臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有することとなるよう、同条第二号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間を相当の期間とすることその他の必要な配慮をしなければならない。


 この部分は、大学院修了者と同等の「臨床心理学を含む心理学その他の科目に関する専門的な知識及び技能を有すること」と学部卒で勤務を始めたものがなるよう勤務年限を定めるものである。


 具体的年限は現時点では定まっていない。



附則第四条(名称の使用制限に関する経過措置)この法律の施行の際現に公認心理師という名称を使用している者又はその名称中に心理師の文字を用いている者については、第四十四条第一項又は第二項の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。


 この部分も現時点
(2015.9.16)で公認心理師もしくは心理師と名乗っている場合でも施行されて(最長でも2017.9.17まで)半年間に名称変更を行うことを求めるものである。

 そのため、最長でも
2018317日以降、無資格者は公認心理師もしくは心理師と名乗ると罰則が適用されると言うことである。


附則第五条(検討)政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、この法律の規定の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。


 この部分は、法律というものは実際に施行してみて不都合が生じることが多々あるために、
5年を目途にして改正等を政府等が講じる必要があるとして定めたものである。

 この部分を有効にするためには公認心理師会のような業界団体が問題を常に集める努力を行う必要があり、個々の公認心理師も問題があれば所定の手続を行って報告をしていく事が求められている。



附則第六条(試験の実施に関する特例) 第六条の規定にかかわらず、施行日の属する年においては、試験を行わないことができる。


 ここは施行年が未定ではあるが、
2年以内という規定があるので、2016年もしくは2017年のどちらかに本法律は施行されるが、その施行年に限っては試験を行わないことが出来るとしてある。

 これは仮の話であるが、指定機関に関しては
2016316日以前に指定されるが、ほぼ同時期に本法律が指定機関以外の部分も施行された場合、試験をすることが日程的に不可能な可能性があるためにこのような条文が附則に定められているのである。

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コメント

 心理学部出ではなく
社会人を経験して
大学院の学費を貯めつつ
独学で心理学を学んで、
指定校の大学院を経由して
臨床心理士資格を取得。
その後、妊娠出産などもあり心理職に就くことが出来ていない人などは、
移行措置を使って公認心理師になることが無理っぽいですね。

また大学から入りなおした上で大学院に行くなんて酷だと思いますよ。


 苦労してわざわざ指定大学院を出て臨床心理士資格を取得した人は、救済してあげて欲しいものです。

国家資格ではないとしても、臨床心理士の指定大学院というのは文科省という国の制度上のものであり、
単なる民間講座民間資格とは事情が違うと思うのですが、いかがでしょうか?


苦しいところですが 現任者の定義になるかと思われますので、ご所属の都道府県臨床心理士会経由で要望を上げてもらうこと、日本臨床心理士会へ要望を行うことなどされて行かれると良いかと存じます。

ただ、連続して5年ではなく通算5年ですので、まだ施行まで日があるのでなんとか資格要件を整えることをされても良いかもしれませんが・・・育児などで難しいかと存じますが

やはり他学部から大学院に行くことはこの情勢ではやめたほうがいいのでしょうか?
今から臨床心理院にいっても公認心理士にはなれませんよね……

少なくとも2015年度試験で2016年度入学する者であれば現任者の経過措置という事になると思いますが、非常に微妙な内容で断言はしにくいのですが・・・

 こういった附則の解説を、「公」の団体が、発信しなければならないと思うんですね。でないと、今の大学院生、学部生は、自分の将来がみえてこないですよね。できるだけはやく、そういった発信ができる「公」の組織を、きっちりつくる必要がありますね。
 推進連の会議の日程は決まったようですし、日本心理学諸学会の常任理事会もまもなくあるでしょう。4団体会談がはやくできればいいですね。
 いつも貴重な情報発信ありがとうございます。

コメントありがとうございます。こうした附則は現在の学部生、院生にとってもキャリア形成にとって欠かせない情報なので現時点で実績のある公的団体からなるべく早く、正確に、わかりやすく情報を発信して欲しいとおもいます。

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